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北海道、日本海と太平洋二つの海を持つ町   八雲町デジタル八雲町史 より引用 



第19節 黒岩小学校

黒岩分校時代
 海岸に奇岩があることから、古来アイヌ語で「クンネシュマ」と呼ばれ、やがて「黒岩」と称されるようになったこの地方は、早くから駅逓が設けられ、また、明治13年(1880)1月には郵便局が設置されるなど、交通通信の要衝として、また、漁村として開けたところである。しかし、児童の教育に関しては、明治13年に公立八雲学校が開設以来その通学区に属し、事実上は学齢児童全員が不就学という状態であった。

 こうしたことを憂慮した住民は、16年5月に学校設立について協議を行い、村当局と折衝を続ける一方、寄付金を出し合って民家を買い求め、12坪(約40平方メートル)の教場を整備した。校地は吉田幸太郎の所有地を無償で借り受けてこれに当てた。こうして準備が整った17年1月23日「八雲小学校黒岩分校」として発足し、児童7名、教員には根岸善政が当たって授業を開始した。
 明治23年9月に森田和平治から校地198坪(約653平方メートル)の寄付を受け、校舎をこれに移設(黒岩19ノ1)したが、その後も児童数が増加して校舎が狭くなったので、31年12月に増築し25坪余(約83平方メートル)の校舎とした。
 学校の性格としては、当時の制度によって「変則小学」の初等科三か年を課程としてはじまったが、20年4月に「小学簡易科」三か年の課程へと移行し、さらに28年4月には「八雲尋常小学校黒岩分校」となり、第一類尋常科三か年の課程へと推移した。また、児童の学力向上を願う住民の希望によって、29年5月から修業年限二か年の補習科が付設された。なお、32年8月に本校である八雲尋常小学校が、第一類尋常科四か年制・高等科併置となったことにより、当校も「八雲尋常高等小学校黒岩分校」と改め、翌33年4月から四か年制へと移行した。

小学校に独立
 明治34年(1901)4月には独立して「黒岩尋常小学校」となった。これは、上砂蘭部・大関・久留米の3校との同時昇格であったが、専任校長は直ちに発令されず、山県光麓が訓導兼初代校長として発令されたのは39年のことであった。この独立とともに住民の寄付によって校舎を増築し、46坪余(約152平方メートル)とした。
 明治36年に若松農場、39年には中藤農場と相次いで開設され、これに100戸を超える入植者があり、そのうえ41年に修業年限が6年制となるなどもあって、児童数は急激に増加し、41年度で94名、43年度(4月から木村広胖校長、以後約18年在勤)で107名に達するという状況であった。このため校舎は再び狭くなり、41年度から二部授業をもって急場をしのいだが、いわゆるすし詰め教育を避けることができなかったので、44年4月から二学級編制に改めた。しかし、校舎を増築する資力もなかったので、及川兵発が私有建物を自費をもって改造し、12坪の教室を含む24坪を第二校舎として急ぎょ提供したのであった。
 翌45年度にも児童が急増したので、第二校舎を一部増築して教室を16坪に拡張するなど応急対策を試みたもののこれも限界に達した。そこで住民協議のうえ、大正2年(1913)に新校地909坪(約3000平方メートル)を選定して買収し、地ならしをして村に寄付、校舎の移転増築を要請した。村もその実情を認め、旧校舎を移設のうえ増築して2教室、66坪余(約218平方メートル)の新校舎とした。この完成け12月26日のことであり、翌年1月からこれに移って授業を開始したのであった。
 大正9年黒岩字区画に富岩特別教授場を開設し、児童28名を収容して授業を開始したが、この教授場は昭和14年3月に廃止された。
 15年4月から修業年限二か年の高等科を併置して「黒岩尋常高等小学校」と改称し、全校4学級編制となった。高等科を併設したことにともない、同年5月に一教室を含む43坪余(約142平方メートル)を増築し、総坪数133坪(約419平方メlトル)、児童数218名となった。またこれと同時に、校門や石段を住民の奉仕作業によって設置した。

黒岩小学校 (写真1)


学制改革から現在まで
 昭和16年の国民学校令によって「黒岩国民学校」となり、旧尋常科は初等科、高等科はそのままで授業が続けられたが、22年の教育制度の大改革により6・3制が実施され、小学校六か年、高等科が廃止されて新たに中学校三か年の義務制となって小学校内に併置され、「町立黒岩小学校」、「八雲中学校黒岩分校」とそれぞれ改称された。
 27年には全住民とPTAから校内放送施設が寄付され、30年には林 一種、長谷川鎰、奥寺文雄の3名と八雲町漁業協同組合から新校舎敷地として1850坪余(約6150平方メートル)の寄付を受け、これに町が鉄道用地3000坪(約9900平方メートル)を購入し、31年6月にかわら棒ぶき木造2階建てモルタル仕上げの現校舎320坪(約1056平方メートル)を黒岩212番地に新築移転した。
 昭和42年9月に鉄骨造116坪(約383平方メートル)の体育館が完成し、教育設備の充実が図られた。昭和56年5月現在では4学級、児童数43名という状況である。


本 校 沿 革 の 概 要
明治16. 5  民家を買い入れ、塾として創立

  17. 1  八雲小学校黒岩分校として開校(23日)

  23. 9  校舎移転改築される

  34. 4  黒岩尋常小学校となる

大正 3. 1  校舎新築移転される

   9. 5  富岩特別教授場開設

昭和14. 3  富岩特別教授場廃止

  15. 4  黒岩尋常小学校と改称

     11  創立40周年記念式典・祝賀会挙行

  16. 4  黒岩国民学校と改称

  22. 4  八雲町立黒岩小学校と改称(中学校併設)

  31. 6  現在地に新校舎新築移転

  39.11  黒岩中学校校舎落成(中学校独立)

  42.10  体育館落成記念式典挙行

  45.11  渡島読書感想文コンクール 学校賞受賞

  48. 1 開校90周年記念式典・祝賀会挙行

  52. 7  学校プール落成

  56.11  八雲町複式教育研究大会開催

     12  簡易水道から町営上水道となる

  57.10  学校教育賞受賞

  58. 8  校舎前面窓アルミサッシ化される

     10  開校100周年記念式典・祝賀会挙行

  60.10  渡島複式教育研究大会会場校となる
                
  61.11  日本標準教育賞(作文・詩・感想文)学校賞受賞

  62.12  校舎北側窓アルミサッシ化される

平成 2. 7  校舎前面外壁補修工事

     11  渡島特別活動研究大会会場校となる

   3. 4  渡島教育局研究指定校となる

   4. 9  公開研究会開催(全校集会・生活科・理科)

   5.10  渡島複式教育研究大会会場校となる

   6. 2  平成5年度北海道教育実践研究報告集に全文掲載

     11  校舎部分新築移転

   7.12   体育館完成

   8. 2  新校舎落成記念式典・祝賀会挙行

  12. 6  渡島複式教育初経験教育研修会・八雲町複式教育研究大会開催

      6  学校プール改修工事完了

  13.11  パソコン設置・インターネット接続

  14.10  全道へき地複式教育研究大会プレ大会会場校となる

  15. 9  全道へき地複式教育研究大会会場校となる

  15.11  開校120周年記念式典・祝賀会挙行

  16. 6   黒岩小学校・町民大運動会開催(黒岩中学校閉校による)

  17. 5   みずほ教育福祉財団へき地交流学習指定校

     12   校舎窓枠サッシ全面補修

  19. 5  渡島複式教育初経験者研修会会場校となる

      5  渡島教育局研究指定校となる(国語科)

  20. 5  渡島教育局研究指定校となる(国語科)

  22. 1  地上デジタルテレビ設置

  22. 2  校務用パソコン設置

  22.10  ストップザいじめ子ども会議(児童3名参加)

  23. 2  ストップザいじめ北海道フォーラム(児童4名参加)

  23. 3  東北地方太平洋沖地震発生  大津波警報発令により地域住民100余避難

  23. 9  八雲町複式研究大会 授業会場校として公開授業
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